2006年07月14日

こわれた腕輪―ゲド戦記 2

400110685Xこわれた腕環―ゲド戦記 2
アーシュラ・K. ル・グウィン 清水 真砂子 Ursula K. Le Guin
岩波書店 1982-01

by G-Tools


映画公開に間に合わせようと
2巻途中でほったらかしだったのを、大急ぎで読んでいます。

予想通り、この巻は私の好きなお話だった。

主人公ゲドよりむしろテナー中心に書かれていたから。
真面目で重厚なハイファンタジーの中に
オトメな部分がチョコチョコ顔を出している。
そりゃそうだ、テナーだって乙女なんだから。

だが、筆者はもちろんただのオトメ話に終わらせてない。
これは少女の自立、いや、生まれ変わりの話だ。
自我の目覚めから、今までの自分を捨て
新しい自分を生み出すまでの迷いと苦しみ
それを丁寧に丁寧に描いている。
実際、女性が自分の意志を持ち、自由に自分で生きていこうとするには
大変な努力がいる。
見方によっては、枷にはめられ他者に従って生きていく方が
楽なのだから。

だが、人間は本来自由なもの。
自由にこそ、人間の意志が宿る。
困難があっても、それに立ち向かい、自分自身で生きること
その姿にこそ、生の輝きがあるのだ。
迷いながらも、後戻りせず前に向かって進んでいくテナーには
紛れもなく生の輝きがある。

ゲドは今回導き役に徹している。
もちろん、書かれている以上の働きはしているのだけど。
闇の中に住むテナーにとって、彼は光として現れる。
男と女、光と闇。そんな対比があった。
しかし、彼女が闇の世界から引き出されていくと
彼女は生の輝きを放ち、彼は影のように付き従い
役割が逆転したようにも見えるのが面白い。

自分の自立を支えてくれ、導いてくれる男性。
ゲドは女性にとって最も理想的な男性を演じてくれたのだが
それでハッピーエンドにならないところが
ル・グウィン女史の立派なところかな。
断じてただのオトメ話ではないのですよ、このお話は。
それは第4巻で明らかになるのです。
posted by きんと at 18:18| Comment(0) | TrackBack(1) | 本・雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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ゲド戦記第2巻『こわれた腕環』
Excerpt: ゲド戦記第2巻『こわれた腕環』を読み終わる。 今回は、まず、ゲドの物語世界であるアースシーの中にある
Weblog: 栄枯盛衰・前途洋洋
Tracked: 2006-08-09 03:12
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